単行本：「海の怪」本当にあった怖い話
発売前！予約受付中！（2020.8現在）
稲川淳二氏絶賛！！「リング」「らせん」「ループ」で世界を震え上がらせる。貞子を生んだ鈴木光司の海をめぐる本当にあった怖い話。
はてなブログ企画の今週のお題。
今回は「怖い話」ということで、
わたしの体験談を投稿したいと思う。
1.闇に浮かぶ大きな顔
わたしがまだ大阪に住んでいた頃の話だ。
当時は姉と、姉の女友達、私の３名で
３LDKの部屋を借りて住んでいた。
季節は夏。
わたしの部屋にはエアコンがなく
夏になると、姉達が寝ている隣の部屋に
布団を敷いて寝ていた。
その日も夕食を終え
いつものように布団を敷いた。
姉達もベッドは使わず、
布団を並べ、隣の部屋に寝ている。
エアコンを部屋全体にいきわたらせるため
ふすまも取っ払っており、部屋は見渡せる状態だ。
３人でくだらない会話を楽しんだ後
エアコンの涼しい風を感じながら
深い眠りに落ちていった。
・・・・・・・・・・・・・・
それからどれくらいたったのだろう。
パッと目が覚めると
金縛りにあっていた。
金縛りは幼少期からよくあることだ。
慣れっこの私は、全身の力をふりしぼって
金縛りをとく。
「えいっ！！！はぁ、夜中から疲れたなぁ」
全身の力をふりしぶったせいか
少し乱れた呼吸を整える。
疲れ切った私は、体制を整えようと
布団からゆっくり上体を起こした。
その時ふと、姉達が寝ている
布団の方へ視線をうつしてしまった。
そう見てしまったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・
「！？」
「いやいや、夢かな・・・」
わたしは、目をゴシゴシこすって
二度見した。
「ぃぎっ！！なんじゃありゃ！！」
そう心の中でつぶやくと、
わたしは「この世の者ではない者」に
背を向け急いでタオルケットを頭からかぶった。
あまりにもハッキリ見えすぎて
怖いというより、「？」で頭がいっぱいだ。
心臓はバクバクと鼓動し動悸が止まらない。
そう、その時わたしが見たものは…
闇に浮かぶ青白い顔をした大きな人の顔。
バスケットボールサイズの大きな顔。
その顔が
わたしをジィッと見ており
うっかり目があってしまったのだ。
悲しみ、辛さ、悲観、絶望、苦しみ、苦痛、
それらすべてを凝縮したような
苦悶に満ちた表情を浮かべていた。
生きてる人間では到底できない表情だ。
男性なのか、女性なのかもわからない。
・・・・・・・・・・・・
その後、私はいつ眠ったかはわからない。
気づいたら朝だった。
朝になると当然その顔も消えていた。
私自身は、あの後考えるうちに
そのまま眠ってしまったのだろう。
ただ・・・
どうして、私の方を見ていたのか・・・
それは今でもわからない。
ただ、今でも覚えてるのは
あの複雑な表情と、
わたしに伝わってきた
その「者」が放つ深い悲しみの感情だ。
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